訪問介護において非常に重要な役割を持つサービス提供責任者(以下、サ責)。特に配置基準の複雑さは非常に悩ましいものです。計算方法が色々とありますが、比較表も作成しましたので比べながらどう違ってくるのか確認していきましょう。
資格要件
- 介護福祉士
- 介護福祉士養成のための実務者研修の修了者
- 介護職員基礎研修課程修了者
- 介護保険法施行規則第22条の23第1項に規定する1級課程修了者
(介護職員基礎研修課程修了者程度とみなされる) - ホームヘルパー養成研修に基づく家庭奉仕員講習会一級課程修了者
(平成3年度~平成6年度、ただし平成3年度までの修了者について、級
はないが、一級課程修了相当とみなす) - ホームヘルパー養成研修に基づくホームヘルパー講習会一級課程修了者
(平成7年度~平成10年度) - 介護保険法施行規則第22条の23第1項に規定する2級課程修了者ま
たは介護職員初任者研修課程修了者であって、3年以上かつ540日以上介
護等の業務に従事したもの。※減算あり - 看護師、准看護師(介護職員実務者研修修了相当。)
人員基準
サ責は特に要件が複雑で混乱する所だと思います。内容によっては行政により回答が違っていたりします。こちらの記事はあくまで愛知県の指定申請の手引きをベースに記載しておりますが、必ず自身の担当地区の行政に確認するようにしましょう。
兼務
兼務について気を付けることはサ責には常勤専従とされているサ責とそれ以外のサ責を別で考えなければいけません。
常勤専従とされているサ責(事業所に最低1人は置かなければならないサ責) |
管理者 |
それ以外のサ責(2人目以降) |
他の業務(訪問介護員など) |
上記が制度の理解となりますが、常勤専従とされているサ責も訪問介護員として訪問し請求しても問題ございません。もちろんローカルルールでなく全体としてです。これを認めると常勤専従とは何をもって常勤専従かよく分からなくなるので名古屋市に確認しました。請求可能という返答はもらいましたが明確な理由は分かりませんでした。
配置基準
配置基準を算出するにあたって、なんと3通りの計算方法がございます。それぞれの計算方法及び要件を確認していきましょう。
計算方法① 40人ごとに1人
利用者の数が四十人又はその端数を増すごとに一人以上の者をサービス提供責任者としなければならない。
(※同一の事業者が障害者総合支援法における居宅介護等(第一号訪問事業、居宅介護、同行援護、行動援護又は重度訪問介護)の指定を受ける場合は、居宅介護等の利用者を含む。以下同じ)
【利用者数=前3カ月の利用者数平均値】
*指定訪問介護のうち、通院等乗降介助に該当するもののみを利用した者の当該月における利用者の数については、0.1人として計算
表にすると
利用者数 | 常勤のサービス提供者数 |
~40人 | 1人 |
40~80人 | 2人 |
80~120人 | 3人 |
120~160人 | 4人 |
計算方法② 常勤換算方法
常勤換算方法によって必要な常勤のサービス提供者数を計算することができます。その場合要件がございます。
【要件】
- 非常勤職員は常勤換算で0.5以上なければならない
- a 配置すべきサービス提供責任者の員数は、利用者数÷40(小数第一位に切り上げた数)以上であること
- b(利用者数が40~200人の場合)
計算方法①で求められたサービス提供責任者数から1引いた数以上 - b(利用者数が200人以上の場合)
計算方法①で求められたサービス提供責任者数の3分の2(一の位に切り上げた数)以上
【比較表】
利用者数 | 計算方法① | 計算方法②(b必要となる常勤のサ責) | a必要となるサ責の人数 |
~40人 | 1人 | 1人 | 利用者数40人の場合
40÷40=1人以上 |
40~80人 | 2人 | 1人(2-1) | 利用者数70人の場合
70÷40=1.75⇒1.8人以上 |
80~120人 | 3人 | 2人(3-1) | 利用者数100人の場合
100÷40=2.5人以上 |
120~160人 | 4人 | 3人(4-1) | 利用者数130人の場合
130÷40=3.25⇒3.3人以上 |
160~200人 | 5人 | 4人(5-1) | 利用者数180人の場合
180÷40=4.5人以上 |
200~240人 | 6人 | 4人(6×3分の2) | 利用者数230人の場合
230÷40=5.75⇒5.8人以上 |
240~280人 | 7人 | 5人(7×3分の2) | 利用者数250人の場合
250÷40=6.25⇒6.3人以上 |
“利用者数が130人の場合サ責の人数は3.3人以上いなければならず、この3.3人の中に常勤が3人必要である” ということになります。
計算方法③ 50人ごとに1人
平成27年に基準緩和がありました。こちらの計算方法の使用にあたって要件がございます。
- 常勤のサービス提供責任者を3人以上配置
- サービス提供責任者の業務に主として従事する者を1人以上配置
- サービス提供責任者が行う業務が効率的に行われている場合
*「サービス提供責任者の業務に主として従事する者」とは、サービス提供責任者である者が当該事業所の訪問介護員として行ったサービス提供時間(事業所における待機時間や移動時間を除く。)が1月あたり30時間以内である者。
*「サービス提供責任者が行う業務が効率的に行われている場合」とは、訪問介護計画の作成や訪問介護員の勤務調整等のサービス提供責任者が行う業務について、省力化・効率化や、利用者に関する情報を職員間で円滑に共有するため、ソフトウェアやネットワークシステムの活用等の業務の効率化が図られているもの。
※ サービス提供責任者の配置基準を考える場合は、サービス提供責任者が管理者と兼務していても常勤換算は1とする。(ただし、2.5人以上の訪問介護員等の人員配置基準については常勤換算0.5とする。)
【比較表】
利用者数 | 計算方法① | 計算方法③ | 計算方法③
(常勤換算方法を採用する場合) |
~50人 | 1~2人 | 3人 | 3人 |
50~100人 | 3人 | 3人 | 3人 |
100~150人 | 4人 | 3人 | 3人 |
150~200人 | 4~5人 | 4人 | 3人 |
200~250人 | 6~7人 | 5人 | 4人
5×2÷3=3.33..⇒4 |
250~300人 | 7~8人 | 6人 | 4人
6×2÷3=4 |
サービス提供責任者の人員配置の見直しに伴い、サービス提供責任者を減員する場合には、都道府県知事に対する変更届が必要である。